CASBAH interview
KABBALA#2にして、もう私の念願が叶ってしまいました。#1を読んだ方は分かると思いますが、CASBAHは私にとって特別な思い入れのあるバンドです。そんなバンドにインタビュー出来た事を嬉しく思います。また、写真はスタジオにお邪魔して撮らせてもらったもので、このメンバー(羽鳥、村山、臼井、服部:編註)になって初のグループショットだそうです。
※ このインタビューは、KABBALA#2(1993年12月24日発行)に掲載したものです。
日 時:1993年(平成5年)12月13日
場 所:千葉県船橋市・津田沼の白札屋にて
話し手:羽鳥 恭充 (vo)、村山 亮 (g)、服部 秀士 (b)
聞き手:杉浦 康司 (KABBALA'zine)
まずは新しいベーシストのプロフィールを教えて下さい。
村山:
じゃあ本人から。
羽鳥:
プロフィール。
服部:
えっ、何から言えばいいのかなぁ。名前は服部秀士と言います。
羽鳥:
服部秀士で通称「秀」。これからは「秀」と呼んであげてください。
服部:
歳は二十歳です、ちょうど今。
羽鳥:
今までバンドの経験は?
服部:
バンドの経験は本当に軽くやった位で、たまたま友達が応募のチラシを教えてくれて、で、合わしてたらスタジオに入っているうちに決まってしまいましたと…あの、学生の時には本当に、初めはギターを造るほうでやってたんですけど、就職活動もするとなるとバンド活動の方も出来ないと言われてまぁ、ふらふらとやってたんですけど…。
バンドに入る前にCASBAHのことは知っていたんですか?
服部:
ええ、何回か見たことがあって、そんなに古くからは知らなかったんですけど、ちょうど今から2年くらい前ですかね、初めて見て、それでまぁてんてんとライブを見に行ってたと。
どうしてCASBAHに入ろうと思ったんですか?今までバンド活動を余りしていなかったのに。
服部:
いやぁ…どうしてって言われても…まあ始めてチラシを見たときには本当にどうかなって思ったけど、初めは本当に正直な気持ちでまさかなぁって思って、でもやってみたいなぁって思って…前のベーシスト、三谷さん、なんていうか尊敬してたっていうか、プレイヤーとして。パンクとか好きなほうですからねぇ、他にも色々と聞きますけど、そういうものが好きですから、初めて入った時に、ベースも似たようなの使ってるもんですから、何て思われるかなぁって、そういうのが凄い心配で…なんか言葉になってないなぁ…。
候補は他にもいたんですか?
羽鳥:
オーディションは他にも、何人かやってて。
何故服部さんに決まったんですか?
羽鳥:
服部さんに決まった理由…何故ですか?
村山:
やっぱり技術的なことというのも勿論あるんだけど、まぁ技術的なことを言えばリズムが凄い良かったりとか、だから基本的なリズムの取り方が良かったということで。それからまぁCASBAHのこともよく知ってるし、好きでいてくれたから…。
羽鳥:
それはちゃんと言わなきゃ。
服部:
ハハハ。
村山:
それはやる気につながる事だと思うからね。
昔の曲は自分のスタイルでやってもらうんですか?
羽鳥:
うん、もう全部自分のスタイルで。
その事でなんか昔の曲に変化がありましたか?
羽鳥:
だいぶあるね、うん、全然違う。
村山:
コピーをしてくれということは一切言ってないし…自分流に弾いて欲しいからね。だから4人のうちの1人になって欲しいということでね。
羽鳥:
ベースも変わったと同時に他の3人も、何ていうか、変わろうっていう気持ちがあるから。だってまた新しいメンバーが入って合わせなきゃいけないでしょ?こっちもお互いにまたこうフィーリングを探り合いながらやらなきゃいけないから、で自然と今のスタイルが出来て、だからもうその時点で前とは違うという感じだね。
何故三島さんは辞めることになったんですか?
羽鳥:
何故だろうねぇ?
村山:
はっきりとしたことは正直に言うとそんなにはよくわかってないんだけどね、だからこっちで想像する事しか出来ないんだけどね。
じゃあ、辞めてったということなんですか?
村山:
そうだよ。向こうの方から。
羽鳥:
もうやる気が無くなったのと、正直言って。あと何て言うか、畑違いじゃないけど、元々ロックンロールみたいなのをやってた人だから。
村山:
だからその、ネームバリュー的な所に魅かれて来たところがある…。
羽鳥:
悪い言い方をしたらそうだね。だからCASBAHに入ればCDがそのうち出て、コンサート出来て、雑誌にも載って、そんな下らないことを考えて…たかもしれない。現実はそんなに甘いもんじゃないのに。
村山:
実際俺達は凄いよそのバンドよりかスタジオの時間を大切にするから、彼のいた、辞める最後の半年間はステージをやってなくて、で曲作りだけをやるために1日置きに入ったのね。で、そういうのがもう、まぁ距離的に彼が離れた所に住んでいたというのもあったんだけど、だんだん嫌になってきちゃったっていうか…。
羽鳥:
ライブばっかりやっていたということを言ってたから、もっと華やかなことを想像してたって言うのかな。
村山:
まぁ、タイプが違うっていうのはそうなんだけど、彼は凄い器用な人だから、例えば2、3回合わせただけでそこそこ弾けるんだよ。弾けるようになる。それは俺達よりも多分早い理解力と想像力を持って、それは彼の才能だと思うんだけど、でも俺達はそこのレベルでは満足してないから、で、もっとそこからどんどん突き詰めて先へ行くんだけど、彼はもう出来てるからって感じなんだよ。まぁ、元々そういう世界の人だったから。
羽鳥:
そうだね。
村山:
やり方が余りにも違いすぎたっていうのも結構大きいんじゃないかな。
その点、服部さんは大丈夫と。
服部:
ハハハ。
羽鳥:
いや、どうなの、大丈夫なの?
村山:
今回のオーディションで一番気にしてたのはそこのところだよね、とにかく。だからスタジオの入る前にみんなで直接会って話をして、それで話が合ったらスタジオに入ると。
羽鳥:
前回はもういきなり、オーディションしたいって言ったらスタジオに直接来てもらって、もうすぐに曲を合わせちゃったのね。だからその人のこと全然知らないで、ただ演奏だけを見て判断しちゃったって言うの?それでまぁ、失敗したって言ったら失敗した事だから、今回はちゃんと会って話をして、俺達はこういう考えだよっていうことを言って、それでも君がよければスタジオに入ろう、ってね。それで話して、入りたくないって人も出て来たしさ、それでやっぱりやって良かったなって思った。
村山:
やっぱり同じことを考えてくる人もいるだろうからね。
羽鳥:
そうだね。
じゃあ、今年(1993年)一年は新曲作りが中心だったんですか?
羽鳥:
いや、もう半分はベース探しだよ、だから。
村山:
物凄い時間を費やされちゃったよね。
羽鳥:
凄い時間使ったよ。ベース抜けちゃって、探して、オーディションずうっとやって。で、秀になってからもずっと、いままでの曲をみんなでリハーサルする時間、だから新しい曲なんて手掛けてる暇なんてなかったっていうか…。
村山:
オーディションって言っても、ただ一回だけ合わせるんじゃなくて、一回合わせてみて良さそうだったら、それから何人も平行して一緒にスタジオに入ってみる、ってやってたの。で、そのせいもあって、かなり慎重に選んだには選んだ。だから毎日違う人と入ったりとか、そういうことをしてたんだよ、何か月間かのあいだ。
ちょっと話題を変えますが、1月のロフトのライブの時に「今年は結成10周年だから何かしたい」って言ってましたよね。何をしようと考えてましたか?
羽鳥:
…メンバーチェンジ!(一同笑)…になっちゃったんだよね。
村山:
記念に(笑)。
羽鳥:
記念に(笑)。いや、でもね、本当に変な意味じゃないけど、本当に感謝してるんだよ。こういう体験ができたことをさ。メンバーチェンジとかしてね。
村山:
それはある。
羽鳥:
最初に三谷が抜けた1年では、まぁそうは思ってなかったんだけど、で三島君も抜けて、なんかもう一度見つめなおせたっていうか、自分達の曲を、改めてさ、イチから。で、秀がイチから全部覚えるのと同時にさ、まぁこっちも、俺ならヴォーカルラインをもう一回見つめ直したりとか、そういうことも出来たし、だからそういう意味で凄い刺激になったよ。だから、良かったっていうか、メンバーチェンジがあって。
村山:
客観的に見ることが出来たよね。
<中 略>
羽鳥:
(服部さんについて)ライブの経験がないんだよ。
あ、そうなんですか?
村山:
全く初ステージ。
羽鳥:
全く初めてなんだよ。
服部:
初めてなんです。
羽鳥:
そういうの全く関係ないっていうか、俺達はそういうので(服部を)採ったんじゃないから、もうこれからどんどんライブをやって馴れてもらおうっていう気持ちで。もうだから、来年はガンガンやるから、秀のために(笑)。自分のためでもあるんだけどね。
アルバムの話っていうのはないんですか?
羽鳥:
アルバムの話は…無くはない(笑)。けど、そういうこともベーシストが決まんなかったから話が停滞しちゃって消滅しちゃったって感じ?
村山:
常にそういう事には関わっている、っていうことはある。…まぁ、出したいからねぇ、こっちも。最終的には、いいとこがあれば。
レコードを出すにあたって、メジャーだインディーズだとか、国内だ海外だっていうのは関係無いんですか?
羽鳥:
まぁ関係ないね。
村山:
うん、今出すんだったらそうだけど、最終的には勿論どんどん上を目指したいからね。そこで終わりとは思ってないから。
CASBAHが「RUSSIAN ROULETTE」を出した時っていうのは、自分達のレーベル、No Posers Recordsからでしたよね?そういう形でというのは考えられますか?
羽鳥:
それはないね。
村山:
まず有り得ないでしょ。
羽鳥:
それはもう無理。人の力を借りないと。ちゃんと、やっぱ録りたいしね。自分達だけじゃやっぱ限界あるから、周りもちゃんとしたスタッフとか、しっかりしてる所で出したいから。
村山:
まぁやる以上は一番良いとこ狙いたいと思う。だから1枚出してより効果的になるような所をなるべくとるように、かつまた、先もちゃんと考えていけるように一応選ぶけど。自分達だけでやってるんだと限界があるでしょ、やっぱり。ただ自分達で出すだけだから。…実際あんまし事務的なことにはかかわりたくないから、音楽だけをやっていたいから。それも大きいし。
何がCASBAHを10年間も続けさせたのだと思いますか?
羽鳥:
「何が?」?
村山:
ハハハ。
羽鳥:
何がだろうねぇ?
バンドを続けるっていうのは本当に大変だと思うんですけど。
村山:
そりゃあ大変だと思わないことが長くやる秘訣じゃないかなぁ。
羽鳥:
大変だと思ったことはないなぁ。
村山:
大変だと思ったら続かないよ。
羽鳥:
やっぱり自分達を信じるっていうか、そうだねぇ、自分達のバンドに魅力を感じていないと出来ないかなぁっていう…やっぱそういうのを失いかけた時期とかもあるんだけどね。でもここで辞めたらあかんと思うしね。夢を持ってやってるわけだから、その夢のかけらすら達成してないわけだからね。これからだからね。辞められないよね、やっぱ。まだ東海岸ツアーもやってないし、全米ツアーもやってないし(笑)。きりがないよな。全部やらなきゃ。辞められないよ、本当。いくつになろうがね。
じゃあファンは解散は無いから安心してていいと。
羽鳥:
解散はないんじゃないかねぇ(笑)。ま、秀次第だね!(一同笑)もうベース抜けたら俺ら立ち直れないよ。…なんか変なことが無い限り。
ならファンはその夢が実現するまで待っています。
羽鳥:
応援してください。
来年の1月30日にJURASSIC JADEとやりますよね。CASBAHとかSABBATとかJURASSICっていうのは日本のスラッシュの創成期から10年近くずっとやってきているわけですが、今でもこうして一緒にライブをするっていうことに何か感じることはありますか?
羽鳥:
まぁ、特別な感じはするよね。JURASSICとかはもうずうっと昔から一緒にやってたし、ここ最近はやってなかったから、彼らが頑張ってるっていうの、俺達にとっても良い意味で刺激になってるしね、やっぱ辞めてほしくないと思うし。特別なバンドだよね、うん。だから、音楽うんぬんじゃなくて、ただやっててくれたら嬉しいなぁって。辞めては欲しくないね。
最後に、どんな時に音楽やってて良かったって思うか聞かせてください。
羽鳥:
ライブやって、お客さんがちゃんと自分達の為にお金払ってねぇ、高い金払って見に来てくれて、一緒に歌ってくれたりとか、そういう時かな。そういうのを見てるとき。その場では「良かったなぁ」なんてにやけてられないけどさぁ、あとからやっぱり…嬉しいことだよ。
村山:
最近はお客さんに感動させられることが多いよね。昔よりも多いかもしれない。
羽鳥:
テープだけしか出してなくてさぁ、10年間やっててよくみんな見に来てくれるよなぁって。勿論入れ代わってるんだろうけどさぁ、お客さんは。凄い嬉しいよ。それはステージに立てばわかるよ(笑)。
服部:
今まではステージの下でしたから(笑)。
村山さんはどうですか?
村山:
うん、俺もそれに尽きると思うよ。それ以外は考えられないね。
ファンに何かメッセージがあれば…。
羽鳥:
ファンにメッセージ…一言言ってやれよ、ファンに!もう、これからはファンがつく方なんだから、秀!
服部:
(笑)そうなんですよねぇ、今まではファンだったから…う〜ん、続けるぞ、と!(一同笑)
羽鳥:
まずそれか?
服部:
まずそれですね。メンバーに迷惑かけないように。本当に誠意を持って頑張ってやっていくことですね、私は。
羽鳥:
でも本当に良いメンバーが入ったと思って、いま本当に嬉しいんだよ。今までCASBAHずっとやってて一番今が、何て言うか、バンドの雰囲気が一番良くなってるし、今まで以上にね。ほんと、だからこれからかなぁなんて感じ。もういつまでも応援しててほしいよね。
余談ですが、10周年記念にもう一回くらいメイクしようとは思いませんか?
羽鳥:
いや、ちっとも思わないね(笑)。バンド名を変えてだったらいいけど。
村山:
やるとしたらギャグだよね。
羽鳥:
ギャグでなら出来るよね。
村山:
そういうふざけたアレなら…。
羽鳥:
ふざけた席ではね。
村山:
ある…ないね。
羽鳥:
ないね。
村山:
それでもないかもしんない。
ない。
羽鳥:
うん…きつすぎるよ、冗談が。■■■
ライブでやる曲について本人達いわく、「いつ何をやるかわからない」「どの曲にもチャンスはある」とのことなので、古くからのファンも期待して待っていましょう。24日(12/24・品川寺田倉庫「Hyper Psycho Sindicate The End Of 1993」イヴェントの事:編註)には新曲も飛び出すか?!
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