METALUCIFER interview

 「HEAVY METALって何だよ?」って思っている人って結構いると思う。ジャンルが異様なまでに枝分かれし、境界線や基準がかなり曖昧になってしまっている今、HEAVY METAL本来の形が見えなくなっている。そんなうやむやな気持ちを一気に晴らしてくれたCDが表れた。そう、前振りは長くなったが、METALUCIFERである。HEAVY METALが本当の意味でアンダーグラウンドだった頃の精神を現在に継承するために、SABBATとは別の形で進行したMETALUCIFER。マニアは熱きHEAVY METAL魂を感じたと思うが、そんなHEAVY METALが好きな輩の為に、GEZOLUCIFER氏に書簡でインタビューを試みた。



※ このインタビューは、KABBALA#13(1997年2月発行)に掲載したものです。




  回答者:GEZOLUCIFER (vo&b/METALUCIFER)

  質問作成:多田 進 (KABBALA'zine)




 まずはMETALUCIFER結成の経緯を教えていただきたいのですが。

Gezolucifer:80年代初期のHEAVY METALムーブメントをルーツとした時、HEAVY METALには大別して「進化を肯定し可能性を求めたバンド」と「進化を否定して可能性を求めたバンド」が存在し、また、存在してきたと考える。90年代後期に入りその表現スタイルは実に様々であることは皆が知り得るところだ。
 俺(Gezol / Gezolucifer)は、今SABBATというBLACK METALバンドでベース/ヴォーカルを担当しているが、SABBATは常にMANIACで“何か”新しい事をHEAVY METAL / BLACK METALの枠の中で試してみようという方向性にて作曲をしている。それを皆に理解してもらうために俺はBLACKING METALと呼んでいる。SABBATはしたたかに「進化を肯定し可能性を求めたバンド」だ。そしてそれはあくまでHEAVY METALの最もマイナス文化の、暗黒側の究極の音楽表現方法であり、かつHEAVY METALのカテゴリーされた中にとどまらなければならないと考えている。その拘りはBLACK METALという文字の中にMETALという文字が入る以上、ルーツは80年代初頭のHEAVY METALであると悟している。
 SABBAT結成の84年頃、日本で初めての本格的SATANIC METAL / BLACK METALバンドの方向性を固めるべく俺の当時考えていた沢山のHEAVY METAL然たる曲を全てSABBATから排除していった。その頃は沢山の日本のHEAVY METAL / ジャパメタバンドが存在していたから、よりバンドを良い方向へ進めるためには「人とは違ったことを演るべきだ」と悟したからであり、と同時に「若かった」事もあり、よりアグレッシブでスピーディーなものを求めた結果、THARSH METAL / HARD COREの要素も取り入れることとなり、現在に至り、よりAtomosphereなパートやGrinding、Doomyなネオクラシカル、ゴシック的メロディック要素も取り入れている。
 METALUCIFERはその「進化を肯定したバンド」とは全く対極の、俺が当時(SABBAT結成84年頃)やりたかったもう一つのHEAVY METAL。SABBATから排除した楽曲群の「進化を否定して可能性を求めたバンド」であり、ルーツたる80年代初頭のHEAVY METAL群から90年代の今もなお生き残る「進化を否定してきたバンドの純然たるHEAVY METAL」直系の音術である。

 METALUCIFER結成のいきさつを教えてください。

Gezolucifer:METALUCIFERは敢えて80年代にこだわっている。結成のきっかけは、現在90年代の進化したHEAVY METAL群への挑戦である。混沌とした状態は真にHARMAGEDON…。テクニックやスピード、ヘヴィネスに比重を置きすぎた機械型のバンドがあまりに多すぎる。HEAVY METALのアグレッシブでパワフルなエネルギーは決してそのような表現方法だけでは伝わらない。まぁ深く考えれば色々難しい。ただ単にたまたま気分的にMETALUCIFERのような“くされ”メタルが何故か今やりたくなっただけやな…。

 各メンバーについてと、今回のメンバーの人選の理由を教えてください。

Gezolucifer:METALUCIFERは単なるおやじの遊びごとである。METALUCIFERに参加したメンバーは、もちろん俺/GEZOLUCIFER(ベース&ヴォーカル)と、残る2人のメンバーは70年代から80年代初頭へのメタルの流れから、80年代初頭のTHRASH / SPEED METALが出現する流れを良く知るプレイヤーである。これは70年代HARD ROCKは明らかに80年代初頭のHEAVY METALとは違ったものでありありながら、70年代のHARD ROCKが何らかの影響をHEAVY METALに与えているんだ! という事を知っているという事と、HEAVY METAL / POWER METALがTHRASH / SPEED METALとは明らかに「リフ」のキザミ(カッティング)やリズムの上で違ったものであるという事を知っているということがMETALUCIFERの核なる正統派HEAVY METALをプレイする時に重要なポイントになるからである。
 ELIZAVEAT(ドラムス&ギターソロ)は元々SABBATのメンバーで、今でも時々会っている。彼は色々な音楽を沢山知っているし、勿論HEAVY METALの全ての流れをリアルタイムで俺と過ごしてきた。メロディックデスやブラック、死体/内臓系Grindeathをも愛聴している彼は元々ギタリストであるが、ドラムをある程度プレイ出来ることを知っていたし、実際数回ステージでプレイしたこともあり、「タイコでやってみる?」と言ったら喜んで引き受けてくれた。お世辞にも「リズムがしっかりしている」とは言えないが、80年代の「臭み」を出すために俺は敢えて「ドラマーでないドラマー」を選んだ。
 ELIZABIGOREはELIZAVEATの実の兄である。彼は言うまでもなく弟と互いに影響しあっていた。SABBATのライブを観に来たり、また彼自身バンドを長い間続けていたので、俺が「METALUCIFERをやりたいんだが、手助けしてくれないか?」と言ったら快くOKを出してくれた。何よりもELIZABIGOREはコピー(カバー曲)をやらせたら完璧にギターワークをマスターしてしまう人物で、レコーディング時にも全てのギターバッキング等をほぼ1日で終わらせてしまったからタマゲタ! METALUCIFERが彼にとって初めての本格的なレコーディングであったにもかかわらずだ。ちなみにこの兄弟は地元(三重)でGOREなるHARD ROCKバンドをやっている。ELIZABIGOREはコピーワークであったにせよ、オリジナルワークであるにせよ、「感情投入」を忘れることはなくプレイ出来る事が素晴らしい。
 あとゲストを紹介しておくと、Mr. MATSUI(本名:松井博樹)、彼は初期のHEAVY METALからBLACK METALまで本物をこよなく愛するキーボーディストで、BIG WAVEなるDEEP PURPLE直系の様式美系バンドの専任ミュージシャンであり、名古屋を中心にライブ活動を行なっている。インストゥルメンタルでキーボードのバッキングとソロをプレイしてくれた。Mr. OKAZI(本名:岡嶋永英)、名古屋を中心に性力的?に活動している、日本の誇るDeathrashバンドVOIDDのリーダーで、ギターとヴォーカルを担当している。いつもは100万馬力の叫びを聞かせているが、コーラスパートで参加してくれた。TEMIS OSMOND、現SABBATのギタリストで「OZZYとRANDY RHOADSならケツを貸してもいい」という人物。怪しく邪笑なソロフレーズを信条としているが、今回は“Heavy Metal Drill Part 1”と“Soul Warriors”で、くされソロに挑戦、コーラスに参加してくれた。NEAL TANAKA(本名:田中利和)、恐らく世界でもトップクラスに入るであろうHEAVY METALコレクター。欲しいレコードには金を惜しまず、今日もレコード店を歩き回る。「あるうちに買っとかんと、後で後悔するでよぅ。レコードは出会いなんだわ」という名古屋弁で名ゼリフを生み出した彼は、コーラスパートと“Heavy Metal Is My Way”のシャウトをやってくれた。勿論スリーブ写真に使用されたレコードは彼のコレクションからのもので、中身やレア等に関係なく、くされカバーのコンセプトで選出してくれた。そしてスリーブのDRILL KILLERこそ、彼本人である。

 METALUCIFERという名前はどこから思いついたのですか?

Gezolucifer:METALUCIFERというのは造語で、METALとLUCIFERをかけた、メタル魔王である。実はこの造語は92年リリースのSABBATの「EVOKE」というアルバムのラスト曲“Metalucifer and Evilucifer”のタイトルから得ている。メタル魔王と邪悪魔王が結合してSABBATがあり、メタルのルーツと正統派HEAVY METALの定めがMETALUCIFER、メタルの暗黒の邪心化がEVILUCIFERとしている。

 何曲かは初期のSABBATでもやっていたと思うのですが、これらを今頃やろうと思ったのは何故ですか?

Gezolucifer:METALUCIFERにマッチすると思ったし、というかMETALUCIFERの為にSABBATでやらなかった曲というか…。

 これらの曲をMETALUCIFERではなく、現在のSABBATとしてやろうとは思いませんでしたか?

Gezolucifer:SABBATでやったらただのジョークになるから(笑)。いや、ファンが混乱してしまうやろ? 確かに昔はSABBATでやっていた曲が何曲かあるんやけど、今と昔では状況が違うし、今のSABBATでやるにはもっとヘヴィな方が良い。だから昔の曲の“まだらの卵”なんていうのはSABBATでやったけど、とても“Heavy Metal Is My Way”なんてSABBATじゃやれへん!

 CDの反応の方はどうですか?

Gezolucifer:意外にもアメリカからの反応/リアクションが凄く良い。たくさん手紙も貰ったし、注文もたくさんある。ヨーロッパでもBLACK / DEATHのレーベルやってる奴とかから「GREAT」の文字を幾らかもろた。結局その辺の連中も80年代を知っている奴が多いから、マジに捉えてくれていて、「心がなごんだ」なんていうFAXも受け取った。ドイツのファンジンやってる奴が「今度MANOWARが1月にドイツツアーで来る時にMETALUCIFERをJoey DeMaivに手渡してやるよ」と言ってきたし、アメリカのコレクターは「とてもこんなバンドが日本にいるなんて考えられない」と書いてきた。でもイギリスの反応は少々冷ややかで、「10年前だったら超名作だったろう」とか、「日本の無名バンドはこっちじゃ売れない」とか…まあ、UK自体HEAVY METALのシーンは全く朽ち果てているらしく、流行ものですら大した事ないとか言っている。今度“Lost Sanctuary”なんて曲を作ろうと思っている(笑)。結局イギリスは元々聖地でもなんでもなく、ただのトレンド人間の集まりの国だったのかもしれない。日本では、そこそこかなぁ〜。どのみち日本のシーンも腐っているからどうしようもない! マニアの間ではどこでも“絶賛”やけど…。豚のあぶらにはMETALUCIFERは理解できへんやろ! フィンランドの友人がその人の友人にMETALUCIFERを何曲がダビングしてテープを渡したらしいんだが、食事中にMETALUCIFERを聴いたらしく、口の中で噛み砕かれた食物が吹き飛んで、カナシバリ状態で数分間身動きがとれなくなったらしい…。

 ジャケットで電気ドリルを持っている人は誰ですか?

Gezolucifer:さっきも紹介したんだけど、彼とは15年来の付き合いで、よくコンタクトを取っている。METALUCIFERは間違いなく '80年代スタイル好きのマニアに受けると思っていたから、彼をカヴァーに持ってくることでより話題を作ろうと思った。HEAVY METALのコレクションの中心は何と言っても '80年代だから、わけのわからん知られざるバンドのアルバムのカヴァーなんかをバックに“あれ”なら、みんな“ドギモを抜かれる”か“大笑いする”かだろう? でもその後にくる何とも言えない“安心感”と“平和感”…。あの田中氏とカヴァーは俺達に“心の安らぎを”与えてくれるでしょう? ボツになった写真の中にもたくさんホンコンマフィアみたいなカットがいっぱいあった。「レコードはあるうちに買っとかんと、あとで後悔するでよぅ〜」は真に名言! 他にも「それは買っちゃいかんレコードのベスト3だわっ」と言うのもある。これは俺がオランダのSEDUCERのLPを中古屋で買ってしまった時の文句。

 今さらですが、影響を受けたバンドについて教えてください。

Gezolucifer:特別強い影響はIRON MAIDENからでしょう。METALUCIFERを聴けばすぐわかる。あとACCEPTやMANOWARだね。VENOMはSABBATの方やな。IRON MAIDENからは計算性、ACCEPTからはパワーと押し、MANOWARからはドラマ性、これをMETALUCIFER独自のMETALに消化吸収させた。

 METALUCIFERとしてライブをやる予定はあるのでしょうか? またライブをやるとしたらカヴァーとかはやりたいと思いますか?

Gezolucifer:SABBATが暇ならやろうと思っていたけど、ちょいメインの方が忙しいんで、今のところライブの予定はない。だからカヴァーをやるかどうかも考えたことない。METALUCIFERだけでたくさん曲があると思うんで、それで30分〜40分は十分ライブできる。でも、もしやるとしたら、フランスのソルティレージのカヴァーやベルギーのアシッドやスペインのバンドなかを演りたいね! NWOBHM系はもうみんなたくさんやってきているからインパクトに欠けるよ! どうせ見に来るのはマニアだけなんだから、そっちの方がウケが良いと思うわ!

 このプロジェクトは今回限りなのですか? 今後も2ndCDとか出す予定はあるのでしょうか?

Gezolucifer:最初は1枚で止めておこうと思っていたんだけど、悪い欲が出てきたんで、2ndアルバムも5年後くらいにリリースする予定でいる。曲も既に4曲ぐらい書き上げてある。でも今はSABBATの方が凄く忙しいんで、METALUCIFERはおあずけ状態。ELIZABIGOREはすごく次の奴をやりたがっているけど、「まぁ慌てるなっ!」。俺は“良い物”だけを作りたいから…。でも次のタイトルは「HEAVY METAL CHAINSAW」だ!

 METALUCIFERの今後の予定について教えてください。

Gezolucifer:METALUCIFERの予定は真っ白です。ライブをやるとしたら '97年の秋頃でしょう。

 最後に読者にメッセージとかあればお願いします。

Gezolucifer:耳クソの詰まった連中はいわゆる「いい音」しか聴かない。愚か者! 「これはメタル」とか「これはメタルじゃない」とか「どうでもいいじゃないか」という奴は死んでくれ! HEAVY METALは同胞達が定める同胞達による同胞達だけの音楽だ! インタビュー有難う。■■■







 諸事情により手紙でのインタビューとなったのだが、予想以上の濃い返答にただただ圧倒されるばかりである。熱きHEAVY METAL魂がビンビンに伝わってくるではないか。「HEAVY METALこそ我が人生」と正面切って歌えるなんて、今時格好良すぎて感動すら覚えてしまう。HEAVY METALが好きだというのならば、METALUCIFERを一度は聴いてみるべきである。






Gezolucifer presents
"HEAVY METAL HUNTER" & "MEAVY METAL DRILL"
METALUCIFER全曲解説




HEAVY METAL IS MY WAY
 この曲の原曲というか後半の3重の所以外は、殆ど84〜85年に書かれていたものを手直しして95年に完成させた。「HEAVY METALは、我が命」 正にその通り「我が生きる道」である事を歌っている。
 この曲をアルバムの1曲目に持ってきたのは、いわゆる前奏/前菜の様なもので当時よくあったインストゥルメンタル=1曲目にあたればいいと思った。もちろんインストゥルメンタルチックな曲ではないけれど、METALUCIFERの詩の多くのメタルファンの真髄を集約していると思う。まぁ、こんな直接的な思わず恥ずかしい様なタイトルは俺にしか出来ないだろう? メタルが本当に好きな連中は何とも思わないけどな。少々キャッチーなミドルテンポの曲。バッキングヴォーカルにNEAL TANAKA、VOIDDオカジなるメタリストを参加させた。

HEAVY METAL DRILL
 この曲は84〜85年に既に完成していたけれども、全体的にスラッシュ的だったので一番最初に出てくるハモリパート以外の全てのバッキングを95年に作り直した。歌詞も96年に作った。仮タイトルは“HEAVY METAL NOISE”だった。コンセプトは「俺の信念のMETAL DRILLを貴様ら偽メタル連中の頭にぶっ刺したるでぇ〜!」。
 当時最初は、すげぇかっこいいメタルだったんだけど、2枚3枚とアルバムを出すうちにポップな方向やおちゃらけた方向は音楽性を変化させていくバンドや、えらく派手にちゃらちゃら着飾った女みたいなコスチュームを着たバンドが存在していた。今でもそういうのはいるけれど、まぁ現在のビジュアル系っていう連中の服みたいなそういう奴等が大嫌いだった。そいつらに向けた俺達メタル族からのメッセージだ! ちゃらちゃらするんじゃねぇ、この野郎! だぜ!! METALUCIFERがアホ狩りをする時の歌だ。
 イントロの効果音がくさくていいと思う。そして2曲目はやはりスピーディな曲だね。これがルールだな! IRON MAIDENを彷彿させるであろうハモリパートにヨーロピアンメタルチックなヴォーカル/バッキングギターを上手くドッキングさせたと思う。今まで何故このドリルというのが欧米のメタルバンドの歌詞に使用されなかったか不思議であった。まぁ日本では算数ドリルや国語ドリルなんてのを思い出して、カッコイイ言葉だと考える奴は少なかったのかもしれないが、誰も使わないなら「俺が使ったれ」と思ってアルバムタイトルにもしてやった。当時から考えていたことが実現できて非常に嬉しいわ。

HEAVY METAL HUNTER
 これは全て95年に作詩作曲した。のっけから、タイトルに“HEAVY METAL”と付く曲を3曲並べたアルバムは前代未聞だろ?! これはERIZAVEAT氏のアイディアでもある。これだけでこのバンドのイメージングは成功していると思うし、その姿勢や熱意を感じさせる事ができるだろうと俺も考え、選曲したんだ。
 作曲はジャーマンメタル風に仕上げたつもりだ。サビのブレイクの所の低い方でHEAVY METALなんていうハモリを入れるのはいかにも「くっさい」ジャーマンメタルだと思うんだが…。詞はメタルマニアの奴がレコード狩りをしているサマを歌ったもので、奴はレコードのバンドの曲のタイトルを見てそれを買おうかどうか決めるんだが、HEAVY METALとかMETALのタイトルの付いている曲があれば何があろうと即買いに走るというもので、METALの付いているメタルバンドなら何でも手に入れるという詞なんだ。そこで俺はあらゆるメタルのLPをチェックし、METALのタイトルを拾い出してそれをプレイしていると掛け合わせて歌詞を仕上げた。結構苦労したけど、なにしろたくさんタイトルがあったから、「よしそれならPART1、2を作って歌詞とギターソロをそっくり入れ替えた2バージョンを作れ!」と! まだまだあるんで、もしMETALUCIFERの2ndアルバムを作る気になったらPART3も作る予定だ。HEAVY METAL HUNTER PART1はミニアルバム「HEAVY METAL HUNTER」に、PART2はアルバム「HEAVY METAL DRILL」に入れた。
 ギターソロも敢えて違いがわかるように、PART2は最初にメロディを弾いて残り後ろの方のパートはライトハンド奏法、PART1は最初にライトハンド奏法を使用して残りはメロディを弾くというようにした。
 実はこの詞のアイディアはアメリカのMEGAFORCE RECORDSからリリースされていたLONG RANGERなるバンド?の“METAL RAPSODY”という曲からヒントを得ている。この曲“METAL RAPSODY”は、ラップの上にメタルのバンド名が上手く(?)コンビネーションされて歌っているものであったが、ラップの上というのがなんとも俺は腹立たしいと思っていたんだ。もっとメタルな曲の上に歌いコンビネーションしたらどうだ、とずっと考えていたんだ。HEAVY METAL HUNTERが浮かんで曲もそれにまさにぴったんこだったんだ。そして特に気に入った曲だったからアルバムタイトルにしてミニアルバムの1曲目にPART1を置いた。

WOLF MAN
 この曲は初期SABBATの時にレパートリーがなかったんで時々ライブでプレイしていた曲だ。86年位まではプレイしていた気がする。SABBATでプレイしていくにはオカルト的だけどメタルチックな曲なんでレコーディングはしなかったんだ。でもMETALUCIFERではオカルト風味も少し加えたかったんで、今回やる事にした。Japanese Versionは95年頃に仕上げた。歌詞はJapanese Versionそのものの内容。狼男。

BLOODY COUNTESS
 METALUCIFERの中で一番暗く重くかつ華麗な曲だと思う。“WOLF MAN”と同じく初期SABBATでプレイしていた曲の一つ。ELIZAVEAT氏が曲を書いたが、少々俺がアレンジしたところもある。
 歌詞はJapanese Versionオリジナルそのままで、85年頃に書いている。Engrish Versionは95年頃に書いたもので、詞はメタル人とオカルトマニアなら誰もが知っているであろうエリザベス・バソリーの所業について語っているもので、曲調はそれなりにマッチしてメロディックドゥーム的に仕上がっている。オカルトチックな曲は今でも多くのHEAVY METALバンドが取り上げていて、マイナースケールを使用したいかにも重苦しい楽曲は、メタルならではの特権だと思う…。であって時には美しく、まさに悪徳の美学である。ハモリのツインギターからギターソロが聴き所かな…。

SOUL OF WARRIORS
 歌詞、曲共に95年に作った。思うに一番N.W.O.B.H.M.している曲であろう。ヴォーカルを少し甘く、他の曲よりも声力を押さえて歌い、メロウな感じのリフを中心に構成させたことによりそれっぽくなったと思う。俺は色々なスタイルの曲を書くのが好きだから、このようなタイプの曲も絶対アルバムに欲しかった。
 詞のコンセプトは、SOUL=精神、WARRIORS=N.W.O.B.H.M.の数々の生まれて消えていったバンド達、としている。多くのバンドが生まれて消えていった中には、幾々もの困難や苦労を超えて生き延びたバンドもいれば、あえなく解散を強いられたバンドなど色々存在したはず。名声や一攫千金を夢見た連中もいただろうけど、ここでは敢えて純粋な思いで「HEAVY METALが好きでプレイしていたんだ」と美傾して、「同じ気持ちで俺達もプレイし、その意志、精神を受け継ぐ」と歌ったものだ。長年HEAVY METALをプレイするのは、容易なことではない。どんな形であろうと10年、20年とこの世界に身を置いている連中は筋金入りだと思う。しかし、散っていった連中も“あの頃”の思いは同じだったと思う。

HEADBANGING
 曲は84〜85年に完成していて、SABBATでもオリジナルJapanese Versionを数回プレイしていた。Engrish Versionは95年に書いた。曲調はPOWER METALっぽいHEAVY METALのアンセムを狙った作り。RAVEN+MAMA'S BOYの思いで作った俺にとっては快作。
 詞は、「メタルマニアの奴らがライブハウスへ行って心行くまでHEADBANGINGする」という内容。当時高校生だった頃、ANVILの初来日のライブを見に行って、彼らのヘッドバンギングの凄まじさに感動し、必ずこのタイトルの曲を書いてやると思ったんだ。今ではファンの暴れ方やリアクションも色々あるけど、HEAVY METAL=HEADBANGINGは定番であり、ミュージシャン側もこれをステージから見ている時が最高に幸せなひとときであろう。
 90年にドイツのとあるクラブに行った時、ライブ会場の入り口に今か今かと開場を待っていたおよそ300人位のファンの約90%以上がDENIM & LEATHERに身を包んでいた。出演バンドはDEATH METAL BANDだったけど、このパーセンテージは日本では考えられない。ロンドンでも約70%以上はDENIM & LEATHERだった。先日ヨーロッパの知り合いに今の状況を尋ねたが、ファッションは真にそのままだと言う。日本とは気候の違いがあるものの、HEAVY METAL=DENIM & LEATHERの復権を願わずにはいられない。

METALUCIFER
 曲は84〜85年に2曲完成させたものより無駄な部分を削って、95年に1曲にまとめてアレンジし直し、このインスト曲を完成させた。インストゥルメンタルというのは詞が無い分、リフメロディで説得力をリスナーに与えなければならない。HEAVY METALであることの原始的な攻撃力と緻密さを上手く融合させ、リフ自体が“歌うメロディ”を誘引させる事が重要と思う。この曲はあらゆる面で非常に完成された仕上がりになったと思うが、IRON MAIDENからの影響は多大である。しかし、真に80年代を思わせるギターとキーボードソロは圧巻である。決して“速さ”にとらわれない“泣き”のたまったメロディラインは、俺達の求めている「不滅の心」。このパートがより一層、曲の深みを与えてくれる。
 そしてもう一つ、「METALUCIFER」はHEAVY METAL掟を守る、IRONとSTEELとMETALで身を固めたIRONとSTEELとMETALでできた戦士であり、テーマ曲がこのインストである。METALUCIFERと、次のIRON' N' STEELN' METALは組曲なんだ。

IRON' N' STEELN' METAL
 頭のリフとヴォーカルラインのバッキングとラストの行進曲風のパートは84〜85年に作っていたが、残りの全ては95年に完成させた。MANOWAR+CLOVEN HOOFの影響下の曲。中間部のアルペジオ/ベースソロパートから、ツインギターソロパート部分がお気に入りで、ギターソロ直前のヴォーカルシャウトからギターソロへのなだれ込みは、「何故ギターソロが必要であるのか」という疑問に有無を言わさず答えてくれるであろう。かつ、これまた超圧巻のギターソロワークは絶品の仕上がりである。今時の連中にぶつけるHEAVY METALの魂ここにあり! である。
 詞は、「IRONとSTEELとMETALが閉ざされた暗黒の扉を破り、今再び集い、戦士の命を受け、果てしない終わりなき闘いに挑む」といった内容で、正統派HEAVY METAL復権の願いを込めた入魂作である。
 いつの世も流行り廃りはあるものの、今なお生き残る純然たるHEAVY METAL BAND達に敬意を表したい。決して売れてるとか、名声のあるバンドだけではなく、この火を絶やさんとするたくさんのマイナー群のバンド達も思いは同じであろう。今からでも遅くはない。俺達の望むHEAVY METALの姿はまだ死んでいない。

MONSTER OF EARTH
 オリジナル原曲は84〜85年に完成していたが、いざスタジオでリハーサルしてみたら思ったより曲が平坦でインパクトに欠ける作りだなと思い、95年にサビ前のブレイクのパートまで全く違ったスタイルにアレンジし直した。非常にエモーショナルな、初期PRAYING MANTIS風?のフィーリングに描き直したので気に入っている。サビの“Monster of Earth”はキャッチーでしかもリピートしてくるんで、一番印象に残るメロディーかもしれない。
 詞は95年に仕上げたが、コンセプトは原曲を作ったときに既に完成していて、半分位は書き上げてあった。ずばり「ゴジラ」の歌だ。しかし、そのコンセプトは“初期ゴジラ”に基づくもので“破壊ゴジラ”であり、「人間の欲望の代償としての人間の勝手な道理で造られた創造物などぶち壊してしまえ」である。みなさん自然を大切にしましょう。

FALLEN ANGEL
 ELIZAVEATが作詞作曲。95年に仕上げられた曲で、アイディアは91年以降から温めていたらしい。非常にサタニックな楽曲で、進化し損ねた現代的BLACK SABBATH風といった感じか。SABBATの1stアルバム「ENVENOM」収録の“Devil Worship”という曲のPART2らしい。現SABBATにてプレイしても全く差し支えないノリである。
 詞は、SATANについてのもので、天国から追放された悪夢の歌。




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