METALUCIFER interview

たかがメタル、されどメタル メタル街道剛球一直線 日独友情編

 全ての境界線が曖昧になり、メタルが本来の姿を見失いつつあった90年代後半、その本来のあるべき姿を再度見せる為に具現化されたバンドが現れた。そう、それがSABBATのGezol氏率いるMETALUCIFERである。メタル・ハンターのドリル攻撃によってメタルの壁をブチ破り、世界のメタル・マニアの炎を再燃したのは96年の事。それから約5年の年月が経った2001年、21世紀もメタル本来の姿を刻みこむ為にMETALUCIFERは再度戻ってきたのだった。クサレ・メタルとかという陳腐な表現なんかでは語ることの出来ない、正にヘヴィ・メタルの全てを知り尽くしたからこそ出すことが出来る最大限の味わいはこの新作「HEAVY METAL CHAINSAW」でも健在どころか、全てを切り刻んでしまうかのような鋭さに磨きがかかっており、怒りのチェインソウが白煙を上げ唸る瞬間、全てのポーザーは血祭りになるだろう。そして、今作は日本とドイツのメタル魂が合体した作品であり、メタルは国境をも越えてしまうとでも言わんばかりの熱血振りがスピーカーからビンビン感じさせるから堪らない。2月には初の日本でのライヴも計画されており、遂に母国である日本でも、その姿をステージ上で見せる事となったMETALUCIFER。そんなメタル魂に火をつけられたまま黙っていては男が廃る。このままでは、俺のメタル道は舐められたままで終わってしまう。それだけは避けたい、そんな思いを胸にGeniezoluzifer氏に色々と聞いてみる事にしたのだった。



※ このインタビューは、KABBALA#30(2001年11月発行)に掲載したものです。




  日 時:平成13年8月13日(月)午前1時頃
  場 所:高田馬場の居酒屋GABURIにて
  話し手:Geniezoluzifer(vo&b/METALUCIFER)
  聞き手:多田 S.S.M. 進(KABBALA'zine)




 まずは今回のアルバム「HEAVY METAL CHAINSAW」の参加メンバーを教えていただけますか。

Geniezoluzife:今回は取りあえずベーシックなものだけを、ベーシックっていうのはギターのバッキング・リフ、あとギターのソロを少し、ドラム、ベースを、先にドイツでとる事になったもんで、メンバーはGeniezoluzifer(vo&b:SABBAT)、これは向こうでドイツ語を教えてもらって、「このほうがエエで」って事でこういう表記になっとる。あと、Elizablumi(g&cho:METAL INQUISITOR)、Tormentharou(ds:DESASTER)で、録音した音源を日本に持って帰ってきて、そこに日本で後で録音した2人のギターと自分のヴォーカルを重ねたんやけど、ギターはElizaveat、Elizabigoreで、今回はこの5人がメンバーや。

 今回のMETALUCIFERは日本とドイツの混合なんですね。

Geniezoluzife:そうです。

 で、アルバムの話はまた後にするとして、まずは7"EP「Warriors Again」をリリースしようと思った経緯を聞きたいのですが。

Geniezoluzife:あれはIron Pegasus RecordsがMETALUCIFERをバックアップしたいという事で、うちらSABBATで97年にドイツをツアーした後にコンタクトをとって、98年頃から1stアルバム(「HEAVY METAL DRILL」)はジャーマン・ヴァージョンのCDとして出すと。で、リリースされて、その後、更に何かもう一つ特別なものが欲しいと。で、今までにIron Pegasusで7"EPを出した事がなかったもんだから、7"EPをとにかく作ってみたいという事で、それやったらええよという事でやってみようかと。2ndアルバムを録音する予定も取りあえずはあったんやけども、その時点では自分も真剣にやらなあかんという思いも無かったし、その前に、SABBATの活動も忙しかったから、(METALUCIFERのアルバムの間隔も)5年空けるという事になっとったもんで、その間に少し出来る事といったら7"EPぐらいしか無かったっていうのもあるけどな。取りあえずDsをどうしようかという事になった時、たまたま、その時に名古屋のDISK HEAVENにBill(Andrews/ex-DEATH〜MASSACRE)がいたもんで、「ちょっとやってくれ」言うたら、「ええよ」って言うたんで、録音することになった。特別、自分がやりたかったというわけでは無かったんやけども、Iron Pegasusのバック・アップがあったからやったという感じやな。

 たまたまBillがいたから7"EPの録音に参加してもらったわけですが、アルバムでの参加については考えてなかったのでしょうか。

Geniezoluzife:アルバムでの参加も考えたのやけど、Billがそうやる気があるのかどうかというのもあったし、あの人自体どうかも分からんかったからな。まぁ、Billでもよかったんやけど、たまたまIron Pegasusに「ドイツでやってみても面白いんとちゃうか」って話をしてみたんや。そうしたら「それならウチが一度メンバーを当たってみる」という事で当たってみたら、メンバーが出てきたもんで、それやったら、取りあえずBillは置いといて、ドイツのやつらとやる事になったわけや。Billでもよかったんやど、リハーサルの問題もあったんよ。結局、Billは名古屋に住んでいるから、Billをこっち(桑名)に呼ぶか、それとも俺らが名古屋まで行くか、そういう事になると、SABBATのほうの練習と重なった場合等、色々と厄介な問題も抱える事になるから、その辺も避けようかと思ったのもあるな。で、しゃーないから、ドイツでメンバーを見つけてくれたら、俺がドイツに行くという事でレコーディング出来るし、曲も作るから取りあえずは探してみてと。曲のほうは7"EPを出した頃に殆どの曲は出来とったんや。あの7"EPをつくるノリで殆どの曲も作ってもうたわ。

 “Warriors Again”はアルバムには収録されてないんですよね。

Geniezoluzife:あれはあれで気にいっとるもんで別に録音する必要無かった。

 あのメンツでの録音はこれのみですから、結構貴重ですよね。

Geniezoluzife:Iron Pegasusのやつが“Soul Of Warriors”が好きらしい。で、あの曲を再度7"EPでやってくれと。やり直したらそれをリリースするからと。ただ、それだけだと片面だけや。で、オリジナル1曲ぐらいなら簡単に作れるだろといって作ったのがあの曲な。で、その勢いで他の曲も一気に全部作ってしもうたんや(笑)。

 (近くにいたDAEMONIC MAJESTY誌の石井氏がつっこむ…) IRON SWORDとのスプリットEPの話はどうなりましたっけ。

Geniezoluzife:IRON SWORDとのスプリットの話があったんだけども、Costaが「ギター・ソロが気に入らん」と言い出してな、それやったらどうするかゴチャゴチャやってるうちに、どうせまた俺らが曲を作らにゃならんようになるやろなって思って作っているうちに出来たのがあの曲なんだよな(笑)。“Soul Of Warriors”の続きの曲とでもいうのか、よう似た感じの組曲みたいにしてやってみたら7"EPの価値も出るし、面白いかなって思って作った。

 さっき簡単に作れると言ってましたが、あれだけツボを押さえた曲を簡単に作れてしまうのは凄いとしか言い様がないですね。

Geniezoluzife:色々なところでやっぱ悩むところはあるけど、でも、それを超えたらポンと出てきてしまうから、それを超えるまでが忍耐やな。

 それだけ引出しが多いという事ですよね。恐れ入ります。

Geniezoluzife:その忍耐までが大変よ。試行錯誤して「クッソー」とか悩みつづけて、で、大体、しっことか糞とかしている時に思いつくんよ(笑)。何か毒が出ていくんやろな。パーっと毒が出て、パーっと何か入ってくるんやろな。

 アルバムの話にいきますが、今回のタイトル「HEAVY METAL CHAINSAW」はやはり前作「HEAVY METAL DRILL」の続きと見てもいいのでしょうか。

Geniezoluzife:ドリルの続きやね。ドリル、チェインソウ、ブルドーザーや(笑)。

 ドリル、チェインソウ、ブルドーザーですか(笑)。どんどん破壊力がアップしてきますね。破壊力のあるものをテーマにしているのですか。

Geniezoluzife:いや、ただ単にドリルの次はチェインソウやろと(笑)。まぁ、そんなとこやね。語呂合わせもええしな。

 チェインソウとHeavy Metalの組み合わせって、例えばACCEPTの1st「戦慄のチェインソウ」とかのように、結構見られますよね。

Geniezoluzife:メタルとチェインソウとの組み合わせ、結構多いね。まぁ、別にMETALUCIFERで新しい事をやろうとは考えていないから、別にありきたりなものでも、NEAL田中がジャケに写っていて、NEAL田中の横にチェインソウがあれば、「それでOK!」なんや。

 NEAL田中さんはIRON MAIDENにおけるエディの様な扱いなんですか。

Geniezoluzife:それは俺らが言わなくても全世界で既にそのような扱いになっとるよ(笑)。俺は実際にはあそこまでいくとは思わんかったよ(笑)。

 NEAL田中さんの存在が一人歩きしているような感じですね。

Geniezoluzife:あれは驚きやねん。海外でも「何だNEAL田中は来ないのか?」って(昨年11月のドイツ公演の際に)言われたよ(笑)。

 2曲目の“Flight Of Iron Pegasus”、歌詞等はやはり日頃サポートしてくれているIron Pegasusに対して捧げたものなのでしょうか。

Geniezoluzife:この曲に関しての歌詞、タイトルなぁ…曲自体は既に出来ていたんやけど、歌詞は完成してなかったんや。まぁ、Elizaveatの曲なんやけど、歌詞をどうするかと色々と悩んどって、それで自分で色々と当てはめてみたら、“Flight Of Iron Pegasus”とピッタリはまるから、じゃあこれでいこうかと。まぁ、Iron Pegasusが俺らのバックアップをしてくれた事によって、ヨーロッパやアメリカでも名前が知られるようになったっていうのもあるから、まぁその辺の感謝の意味も込めてるよ。

 Iron Pegasusの存在って、SABBATにしても、METALUCIFERにしても大きいですよね。

Geniezoluzife:本当にようバックアップしてくれたわ。最初、話をしとった時に、取りあえずヨーロッパでもアジア圏や日本人に対する偏見があると。そやから、俺らがCDを出しても上手い事売れるかどうかはわからへん。取りあえずはチャレンジやからやってみると、そういう思いでやってくれたみたいで、まぁ、ユーロ・ヴァージョンはそこそこ売れてソールド・アウトになったみたいやし、そのへんの感謝の意味もある。Iron Pegasusと言う単語を使って以前からこんな感じで何かしら作りたいとは思ってたんよ。テーマも十分にメタルのテーマになる名前やしな。あそこはブラックメタル系もリリースしとるけど…いや、それ中心やな…でも、何故かIron Pegasusって名前を使っているから、十分、メタルに合うし、それならタイトルにしてみよかと。

 曲のタイトル一つにしてもレーベルに対する信頼関係っていうものを感じさせてくれますよね。

Geniezoluzife:そうやなぁ、結構、喜んでくれたと思うよ。一緒にやったドイツの2人も「この曲はええよ」って感じで喜んでやってくれとった。

 まだ未入手なんですが、“Warriors Ride On The Chariots”は12"EPにもなっていますよね? (近くにいたDAEMONIC MAJESTY'zineの石井氏が12"EPを袋から取り出して見せてくれた。遊園地で撮影したNEAL田中氏がジャケに写っている)ああ、これがそうなんですか。レーベルの写真では後ろに電柱も写っていますね(笑)。

Geniezoluzife:本当は名古屋の栄のド真ん中に行って、スクランブル交差点でNEAL田中にチェーンソウを持たせて写真を撮ろうかと思ってたんやけどな、しかも人がいっぱい歩いとるところでな(笑)。それはさすがにやばいって事になってやらんかったけどな。で、これは“Soul Of Warriors”、“Warriors Again”と続く曲なんや。

 成る程。ウォリアー3部作といわず、今後も続いていくものなんですか。

Geniezoluzife:3部作といわず、今後も第4部、第5部と続けていきたいな。その…歌詞的にな、ウォリアーがチャリオットに乗ったら面白いなと。

 “Northern Heroes”って曲がありますが、これは何かテーマでもあるのでしょうか。

Geniezoluzife:この曲の歌詞のテーマはヴァイキングや。

 北というから、北海道、MAVERICKを思い浮かべました(笑)。

Geniezoluzife:それもエエなぁ、奴らが本州を侵略に来ると言うコンセプトも。はっ、はっ。SABBATでツアーをする事になった時、ちょうど、スカンジナヴィアン・ツアーがあったから、まだ決まっていなかった歌詞のイメージをそこから思い浮かべて“Northern Heroes”、まぁ結構ヒーロー続きやな(笑)。

 前回のインタヴュー(KABBALA#13)の際にも触れていましたが、ラストの “Lost Sanctuary” は正にテーマはイギリスですか。

Geniezoluzife:そうや、イギリスや。まずは前回でも触れたようにテーマだけはあったんや。曲のほうはイントロだけは出来てたんや。で、これはエピックな感じの曲が出来そうだと思ったもんで、それならタイトルは取りあえず決まってるから、あとは無理矢理曲をこういう感じにしようかと思いながら作っていったんや。

 サンクチュアリとイギリスという結びつきがあるわけでは無いのですが、何となくIRON MAIDENを思わせる曲ですね。

Geniezoluzife:そやな。でも、MAIDENっぽいって言ったら、“Heavy Metal Revolution”のイントロはもろにあれやけどな(笑)。

 ああ、そうですねぇ(笑)。

Geniezoluzife:あれは元々はボーナス・トラックに予定していた曲で、実際はアルバムに入れる気はなかったんやけど、Costaがやたらに気に入ったのに加え、他のメンバーもやたらこの曲を気に入ったもんでさぁ、折角、手伝ってくれたというのもあるから、アルバムに収録する事に決めたんや。

 あのイントロはパクリとかいうのではなく、愛情であり、聴いた時にふと「ニヤリ」とさせてくれる確信犯的なものだと思うんですよ。

Geniezoluzife:そうやって聴いてくれるとありがたいな。

 “Heavy Metal Revolution”や“Heavy Metal Samurai”ってタイトル、いい意味でアホっぽくていいですね。やはりその辺は狙ってますか。

Geniezoluzife:アホや(笑)。もう完全に狙いすぎやな。そやから、ヘヴィ・メタルがタイトルにつく曲を3曲は最低、入れとかなあかんなぁーと。本当はもっとヘヴィ・メタルしたろかなって思ってたんやけどなぁ。全部ヘヴィ・メタルがつくタイトルにしようかと思ってたんやけどな。まぁ、そこまでアホをやりたいなとは思うんやけど、多分、そこまで集めるのは結構難しいな。まぁ、タイトルだけなら作れるだろうけど、歌詞が似たり寄ったりになってしまうからな。

 “Heavy Metal Samurai”、これはWarriorに対する返答歌なのかと思ったのですが。

Geniezoluzife:ああ、これか。これは全く関係無いんやけどな、歌詞的には独立しとるよ。自分の思いの中で独立しとんのやけど、まぁ、それはどう捉えてもらっても聴く側の自由やから、それは構わんのやけど。これも曲が最初に出来てたもんで、曲にあったタイトルを考えてたら、たまたま侍という言葉が出てきたんや。バックのイメージ的にも割と合うんじゃないかなと。曲、タイトル、歌詞とかが全体的にイメージに合うようなものにしたいと。曲が完全にソフトなのに、歌詞はサタニックなのが昔は結構あったやん。WITCHFYNDEとかって結構そんな感じやね。あのVoが無かったら普通のバンドや、全く。あのVoがサタニックな方向へと持っていってるんやな。DEMONにしたってそうやしな。まぁ、あのミスマッチがいいのかもしれんけど、俺的には曲、タイトル、歌詞が合っているのがベストやな。

 曲を聴いた時に歌詞の雰囲気が伝わってくるものを書きたいという事ですよね。

Geniezoluzife:今のバンドは大体そういう風にしているとは思うんやけどな。昔は、何でこのタイトルに、この歌詞と曲なんやっていうのが、たまにあったからな。

 今回のアルバムを聴いていて感じたのは、ドイツ録音だからというわけではないのかもしれませんが、何か昔のドイツのHeavy Metal、例えば、本当に初期のRUNNIG WILD辺りにも近い雰囲気を感じさせたのですが。

Geniezoluzife:そうか。思うように感じて貰って、楽しんでもらえれば、構わんけど。向こうのスタジオのエンジニアは英語とか出来たけど、俺はドイツ語とか難しい英語とか出来んから、詳しい打ち合わせ等は、俺は一切しやんかった。今までSABBATにしても、METALUCI-FERにしてもそうなんやけど、その音を狙ってそういう風にしとるんやないんやわ。適当にレコーディングやって出来た音が、たまたまそうなっただけなんやわ。まあ、それなりに前回からの反省点や打開策は考えておくけど。どのバンドもそうとちゃうの?知らんけど。

 それはあっち(ドイツ)の解釈で音を作ったという事なんですね。

Geniezoluzife:ドイツのやつらがエンジニアの人に「こんな感じの音で、もう少し前に出る音」とか、イメージを伝えてなり、そういう音を作ってくれと言ったかもしれないけども、俺としては適当にミックスして、適当に音が出とれば、俺はOKや。でも、多分、ドイツのやつらは「80年代の音にせい!」とは言ってるとは思う。所謂、今のモダンな、やたらに低音が効いた音は作らんでほしいとは言ってるとは思うし、まぁ、(METALUCIFERの音を)聴いた時点でそのエンジニアの人も凄いプロなもんで、その人はドイツで有名なハード・コア系のバンドをやってる人なんやけども、結構、耳もええし、凄く作業も早いし、笑わすのも上手い人やったから、やってて楽しかったな。そやから、そういうのを知っている人に聴かせているからそういう音になったと思うし、機材もそんなに立派なものは使ってなくて、俺らが日本でSABBATの時に入るスタジオと似たようなもんやから、その中で最大限80年代の音を出せるように考えたんだと思う。俺の中にはサウンドのコンセプトはあまりない。行き当たりばったりや(笑)。そんなの考えてたら幾らあっても足りんやろ、銭が。それは銭のあるメジャーなバンドがやる事や。気楽に、真剣に、でも気楽にやる方法で、楽しんでやらんと気が狂うで(笑)。

 でも、そういった中でベストのものを聴かせてくれてますよね。

Geniezoluzife:何か知らんけどね、日本で録音したどんなバンドでもそうなんやけど、最近は音がよくなってきてるけど、でも、やっぱり最終的に音を作るのはエンジニア次第なんじゃないかな。人間のやる仕事やから。

 ドイツですと、昔はコニー・プランクとか、ディーター・ダークスとかいいプロデューサーがいましたが、日本は専業の人は少ないと思います。

Geniezoluzife:ドイツっていうか、ヨーロッパ全体のほうがやっぱり凄く(Heavy Metalという)音を知っているんや。そんで安く沢山やる。で、楽しんでやっとるしな。日本は少なく高くだから全く逆なんや。

 再度“Lost Sanctuary”の話になりますが、そもそもこの曲の歌詞の切っ掛けは#13のインタヴューでも触れていたように、イギリスにMETALUCIFERのCDを送ったら反応が冷たかった事が切っ掛けなんですか。

Geniezoluzife:まぁ、それもあるが、自分達が見てて、ヨーロッパ全体やアメリカもそうだけど、新しいバンドが沢山出てきているのに、イギリスは殆ど出てきてないやろ。(イギリスの新しいバンドと)パッと言って何か出てくるか。昔のバンドは出てくるかもしれんけどな。それは別として後続が続いておらんやないか。後続が続かんかったら人間だってそうやけどつぶれてしまうやん。それが今のイギリスには無いやんか。日本だって頑張ってCD出したり、レーベルを作ったりしてるやんか。イギリスなんかはその辺が全然伝わってこんやん。勢いがないやん。トレンドやったんかなぁ〜と思えるんや。まぁ、イギリスにどういう事情があるのかは分からんけど、客観的に見た場合、まぁ「LOST SANCUTARY」やな。ドイツとかイタリアとかは本当に沢山のバンドが出てきているし、アルゼンチンなんかにもどっとおるのにな。ヨーロッパはイギリスを気にもかけてないのかもしれないけど、でも、もしかしたらいつか出てくるのかもしれんしな。その辺の期待もかけているのもあるんやけどな。

 12"EPやボーナス・トラックの話に行きますが、まずは“Dracula”、このタイトルの曲はSABBAT(「SATANASWORD」に収録)でもやってましたよね。何故、METALUCIFERでもやろうと思ったのか、まずはその辺から話を聞きたいのですが。

Geniezoluzife:これはElizaveatの曲なんやけど、あの人は歌詞をあまり考えやんから、俺に適当につけてくれと。Elizaveatなぁ、あの人、タケちゃん言うんやけど、「タケちゃん考える?」、「俺、考えようか?」とか、どうしようかと考えてるうちに時間が過ぎて、そんで取りあえずドイツのやつらに練習してもらうのに、打ち込みで打って、俺がギターを弾いた音源を送らなあかんかったもんで、Voものせておくと分かりやすいから、その時にSABBATで作った“Dracula”の歌詞を歌って送ったんや。で、Elizaveatに「タケちゃん、こんなの出来たんやけどどうや?」って聴かせたら、「いいやん、これで」って事になって、それでいく事にしたんや(笑)。

 歌詞は全く同じですよね。アドヴァンスをもらった時点では歌詞カードが無かったので…。

Geniezoluzife:で、SABBATの歌詞を見たと(笑)。多少、変えた程度やけど、殆ど同じやな。

 ただ、同じ歌詞なのに解釈次第で、あんなに雰囲気が違うものなんですね。

Geniezoluzife:これがまた一つの証明や。まぁ、何の証明か分からんけどな(笑)。いや、「一粒で二度美味しい」と言う…ただ、その…ヤングには解からんやろなぁ〜。

 それはMETALUCIFERとSABBATの違いってやつですかね。

Geniezoluzife:まぁ、本当はオリジナルの歌詞を作ろうかと思ってたんやけど、SABBATも忙しかったもんでさ(笑)。

 同じ歌詞でありながらも、曲の雰囲気の違いで楽しめますよね。

Geniezoluzife:そういうのも楽しんでもらえると有難いな。両方を聴いてる人は特に楽しめると思うな(笑)。まぁ、SABBAT、METALUCIFER、どっちも大事なファンやけどな。

 “My Way Is Heavy Metal”と前作収録曲の“Heavy Metal Is My Way”、勿論、曲も違いますし、歌詞も違っているとは思いますが、敢えて単語を並べ替えて歌詞やタイトルを構成したのは何か狙いでもあったのでしょうか。

Geniezoluzife:いや、あのね、最初のアルバムに収録された“Heavy Metal Is My Way”を作る時に、“Heavy Metal Is My Way”にしようか、“My Way Is Heavy Metal”にしようか迷ってたんや。で、結局、“Heavy Metal Is My Way”を作ったんやったら、(前に候補だった)“My Way Is Heavy Metal”もかわいそうやから作ろうかと思ったんや。もうそのコンセプト自体は昔からあったんや(笑)。

 最初に言ったヘヴィ・メタル・シリーズの発想並にノリで作りましたね(笑)。

Geniezoluzife:ノリや、ノリ。本当にひっくり返しただけやな。でも歌詞は違うよ。歌詞に関しては “Heavy Metal Is My Way”はどちらといえば俺的には精神的なもの、今回の“My Way Is Heavy Metal”はどちらかといえばファッション的なもの、スタイルや姿勢に重点を置いとるな。

 METALUCIFERの曲というか、SABBATにしてもそうなんですが、Gezolさんの書く曲ってキャッチーですよね。その辺は狙いとかってあるんですか。

Geniezoluzife:キャッチーやな。狙いというか、自分の好みなんや。歌詞を叫ぶとことか、コーラスを入れたりするのとかな。コーラスの無いバンドがおるけど、俺はあまり好きやないな、聴いとって何かフワーッとした感じで終わってしまうもんでな。何か一つバッってくるとこがほしいんや。

 聴き終えたときに拳を握りたくなる感覚や、ライヴなんかの時に合唱出来るような感じが魅力ですよね。

Geniezoluzife:昔からそれは思ってたし、俺のMetalに対する基本的なコンセプトやし、そういうタイプのバンドばかりコピーしていたからな。80年代は大方それなんやけどな。今は古い事にとらわれたくないという事で新しいバンドが新しい事やっとるけどな。

 今作を聴いてて思ったのですが、歌メロが非英語圏のメタル・バンドみたいな歌メロっぽく感じました。

Geniezoluzife:そう? それは“日本を除く”って事かな?

 はい。

Geniezoluzife:それは嬉しいな。最近特に東系(東欧諸国)や、ラテン(南米諸国)中心に聴いてるから、その影響かな。

 ドイツ人英語というか、日本人英語って感じのものもありますね。例えば“Heavy Metal Revolution”とかはそう感じましたね。

Geniezoluzife:ああ、あれは発音が難しいんや。Elizablumが“Heavy Metal Revolution”(真似をしながらニュアンスを伝える…)って言うんやけど、出来やへん、出来やへん(笑)。一緒にコーラスも録音したんやけど、「ええやん、適当で」って感じになってもうたな(笑)。

 いいか悪いかは置いとくとして、結構、カタカナ英語みたいな発音もありますよね。

Geniezoluzife:そうやね。Elizaveatの書く曲に関しては特に何故かそうなってしまうんや(笑)。何故か、なり易いんだよな、例えば“Bloody Countess”とかにしてもな。曲調は自分で作ってないっていうのがあるし、ある程度のメロディとか与えてくれれば変わってくるのかもしれないけど、自分でパッとメロディを思いつくもんで、ちょっと自分の曲とは違うから、多少はそういったのも出てくるかも知れんな。ドイツの奴で、「メタルシはこてこての日本語英語で行くべきや」 言う奴もおるし。気にしない気にしない。

 そういう意味では今回のMETALUCIFERの曲って馴染みやすかったですね。

Geniezoluzife:それがウリやし、それと80年代のノリとか、っていうか、80年代のノリがこれなんや。それが全編につまっとるんや。別にどれをシングルでカットしてもええんや(笑)。

 ライヴに話を変えます。まずはドイツで行ったライヴの話から聞きたいのですが、曲は何を演奏したのでしょうか(2000年11月11日、ドイツのMetternichのKoblenzにてMETALUCIFER GERMAN PROJECTとして初ライヴを行った。本誌#27参照)。

Geniezoluzife:演奏した曲は新作からは“Heavy Metal Samurai”、“Heavy Metal Chainsaw”、“Flight Of Iron Pegasus”、“Warriors Ride On The Chariots”の4曲で、昔の曲は“Heavy Metal Hunter”、“Heavy Metal Drill”、“Heavy Metal Is My Way”の3曲、全部で7曲やった。

 ヘヴィ・メタル尽くしですね。ライヴは1回だけでしたよね。

Geniezoluzife:そう、ライヴは1回だけや。その時の本来の目的はMETALUCIFERの2ndアルバムのレコーディングやったもんで、取りあえずはレコーディングでドイツに行く事が決まっとって、そのついでにDESASTERのアルバム発売記念ライヴがあるから、「それやったらライヴをやってみよか」っていう話になった。METAL INQUISITORも出るし、それやったらMETALUCIFER出来るやろと。「皆、観たがってるし、やったらどうやろ」っていう事でライヴをやる事が決まったんや。

 何かドイツに先を越された事が悔しいですよ。

Geniezoluzife:ライヴをやろうという意気込みで、他の2人(ElizaveatとElizabigore)にも話はしとったんやけども、リハーサルやら仕事の問題等、色々とあって出来んかった。(ライヴはGeniezoluzifer(Vo/B)、Tormentharou(Ds)、Elizablumi(G)の3人で行われた:筆者註)

 ドイツでのライヴの反応はどうでしたか。

Geniezoluzife:反応はよかったよ。とは言うても、向こうはライヴとかパーティーとかって大いに盛り上がる連中ばかりやから、まぁ、実際のところはどうやったんやろな。結構、有名なところも来ていたらしいけど、俺らのライヴの後に雑誌でどう書かれてたっていうような、そういう情報は知らんから。俺の見た目では気持ちよく出来たし、客ものっとったし、大合唱やったけどな。プレイ自体は大笑いやけど。

 ある種、即興メンバーでのライヴでしたから、それは仕方が無いと思いますよ。

Geniezoluzife:向こうの連中はプレイが悪かったとか、少々しくったとか、ライヴでは全く気にしとらん。それはバンド側もそうなんやけど、そんな事は一つも思っとらへん。

 日本は何か気にしすぎな気がするんですよね。TANKARDの来日公演でも思ったのですが、演奏は結構厳しいものがあったかもしれませんが、でも、ライヴの盛り上げ方とか上手かったですよ。

Geniezoluzife:要はそれなんや。俺らは別に盛り上げるようなMCなんて一つも言ってないけど、既に客が盛り上がっとるから、何言うても「ウォー!」とかって感じなんや。それなりに飲むんやけど、ぐでんぐでんに酔っ払ってるわけじゃなくて、結構、酒が強いんや。結構、皆シャイで、飲まんと話しかけてくれへん連中が多かったりもするけどな。

 来年(2002年)には日本でのライヴも決定したという事ですが、その辺について差し支えない範囲で教えていただきたいのですが。

Geniezoluzife:来年の2月に大阪、東京でやる事になった。

 名古屋の予定はないのでしょうか。

Geniezoluzife:名古屋はやらへん。多分、無理やろ。人が集まらんっていうのと、日程的に空けたほうがええと思うんや。Elizablumiは今骨折しとるんや。4〜5日前にメールが来て、何かもう一回手術の必要があって、しなきゃあかんと。ベストの状態ではなくて、出来る事は出来るけど、ちょっと不安になってんのやわ。それやから本当にやるのかどうか確かめたほうがええゆうて、3日ぐらい前にメールしといたんや。それでどうなったかは知らんけど、俺も取りあえずElizablumiに「お前本当にやるのか、やらんのか、日本の場合は半年前から場所を押さえんとダメやから、お前次第で全部(予定が)狂うからお前の意思次第やで」という風には伝えてある。俺はVoに専任する予定で、日本人ギターは現段階では未定やけど、もしおらんかったら、俺がサイドギターをやる事になるやろな。ベースのやつは間違いなく上手いらしいし、SABBATもMETALUCIFERも知っとる奴やで、安心や。(後日、正式なメンバーが決定)

 今後の予定を教えてください。

Geniezoluzife:まずはライヴのために俺とBのやつは取りあえず練習をする予定で、3ヶ月ぐらい前からはじめようかと思う。あとはElizablumiとTormetharouが来るのを待つだけや。まぁ、来るとは思うけどな。Elizablumiはええやつやからな。で、アメリカ盤がもう出るらしい。(R.I.P RECORDSよりリリース。METAL PROOF特別仕様の帯・解説付で発売。100枚限定。のち、DISK HEAVEN仕様に変わる見込み。当然、ヨーロッパ盤とは収録曲が2曲違う:ゲニゾ註)…で、ヨーロッパ盤はまだジャケットが決まってない。結局、メリーゴーランドをそのまま使うと(「Warriors Of Ride On The Chariots」の12"EPのジャケとラベル部分でその写真は使用されている:筆者註)、パロディに思われるんじゃないかと。マジなバンドなわけだから、それはかなわんという事で、それを試行錯誤で、恐らく前のアルバムみたいなジャケになると思う。そのジャケが決まり次第プレスに入る予定や。取りあえずはこんな感じやな。(Euro盤CDについては、Iron Pegasusよりリリース。METAL PROOF特別仕様の帯・解説付で発売。100枚限定。のち、DISK HEAVEN仕様に変わる見込み。LPヴァージョン、Pic-LPも有るらしい!!!:ゲニゾ註)

 読者にメッセージをお願いします。

Geniezoluzife:ライヴをやるで。ライヴをDAEMONIC MAJESTYで企画してくれて、ドイツからメンバーが2人来ると。METALUCIFER GERMAN PROJECTに日本人がプラスという編成でやるけど、もしかしたら2度と出来へんかもしれないから、これは見にこなあかんで〜!!! ■■■




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