杉内:まぁ、何の曲に関しても、そういったところのフレーズは幾つも出てきますよ。やっぱりアレンジをする人間は一緒ですから。v
変わった部分もあれば、変わらない部分もありますよ。“Two Faced In My Soul”でのALICE IN CHAINSみたいな出だしは、新しい面が出ているといった感じなのでしょうか。
杉内:やっぱり今の色々な音楽を聴いていて思うんだけど、NWOBHM以降、スラッシュ・メタル以降はアッとくるようなサウンドに出くわした事があまり無いんですよ。NIRVANAやALICE IN CHAINSやPANTERAはやはり凄いバンドだとは思いますが、皆が皆あてはまる訳ではないですけど、他のバンドのCD を聴いても確かにかっこよくって、演奏は上手いんだけれど、あとに残るものが無いっていうか。すべてじゃないですけどね。ロックバンドって本来何かしら訴えかけるものがあってロックバンドじゃないですか。ただ上手くてロックバンドだったり、カッコよくってロックバンドだったりっていう感じのアンバランス的なバンドが増えちゃってる気がするんで、内面から感じさせてくれるバンドがもっと増えたらいいなぁと思います。そういった点ではNIRVANAやALICE IN CHAINSなんかはそれを代表するようなロック以外の何者でも無かった様なバンドだと思うんです。例えば、かつてのロックやPUNK、NWOBHMのバンドにしても、自分達で表現したいからロックをやっているのであって、それがただ単に、まぁ最近の色々なバンドを聴いていても思うけども、これはうるさくて、確かにヘヴィメタルだけど、ロックしてるのかなぁって思うようなバンドが非常に多くなった気がするんですよ。多分、ライヴをやった時もそういうのって出るじゃないですか。それは俺達も気をつけなければいけない事だと思いますけどね。
インストの“Requiem Of The Kingdom”と“Beyond The Storm”ですが、あれは井田さんが考えた曲ですか。
井田:あの曲はセットになってるんですよ。要は“Beyond The Storm”のイントロとして“Requiem Of The Kingdom”があるんですよ。
本編の“Beyond The Storm”のほうが短くないですか。
井田:そんな事無いですよ。あのアルペジオのやつが“Requiem Of The Kingdom ”。(ここで筆者が大きな勘違いをしていた事に気付く…) 前のインタヴューの時もおかしいなぁとは思ってたんだけど(笑)、じゃあ、今回訂正を入れておいて下さい(笑)。だから一応セットになっている感じで、“Beyond The Storm ”が本編で、“Requiem Of The Kingdom”はそのイントロだと思って下さい。
あの曲には何かコンセプトとかあるんですか。
井田:あれは5 年ぐらい前に作った曲で、ある日、アルバムを録音するとなった時に、練習の時に杉さんが「何かインストとかあると面白いアルバムになるね」とか言ってて、「昔、作った曲でこんなのがあるんだよ」って事で、皆に(この曲の)テープを聴かせたら、「やろうじゃないか」って話になって、収録する事になったんですよ。あれは砂漠の中で昔の中近東の王様が軍勢を引き連れ、嵐の中を行進していくといったような、そんなイメージの曲なんですよ。あの曲を作った時はバンドでやろうとかは全く思ってなくて、ただMTR で宅録を色々とやっていた時に作ったものなんで、まさかね、こういう形でアルバムに収録されて世の中に出るとは思ってもみなかったです。長い間、家で眠っていた曲ですが、これからは皆に聴いてもらいたい曲ですね。最後の方とかは結構JUDAS PRIESTの「DEFENDERS OF THE FAITH」の頃のツインリード、例えば“Freewheel Burning”(と言ってギターソロのメロディを口ずさむ)あたりを意識してるっていうか。JUDASのツインリードって、規則的に3度とか5度とかでハモっていくんじゃなくて、たまに重なったり離れたりして…。それと比べれば、“Virtual Image”のハモりなんかはMAIDEN風と言えるのかもしれませんけどね。
杉内:「Heavy Link」で最初やった時、EDGE OF SPIRITあたりは凄く刺激になったね。
井田:その前に一回、EDGE OF SPIRITと対バンした時があるんだけど(99 年12月18日、難波BEARSにて:筆者註)、その時は出番がEDGE OF SPIRITの次だったんであまり観れなかった。でも、この間の「Heavy Link」の時は出番が少し空いていたので結構観れたんだけど、客席から見て「こいつらって、こんなにかっこいいバンドだったんだ」って前から感じてた以上に思いましたね。本当に面白かったです。
井田:曲が出来上がってから、録音するまでの間にかなり時間もあったし、“Virtual Image”と“Eagle Fly”は一度レコーディング(SOLITUDEは99年末にプロモーション用として2曲を録音して、関係者向けにテープを配付していた:編者註)しているからこそ、それ以上の物にしようとして苦労したっていうのはあるんですけども、曲の構成やアレンジ等を改めて考え、直していくのに時間を割いたのは“You Wish”と“Two Faced In My Soul”です。ギターソロも一回録音し直したし、乾(アルバムをレコーディングした際のエンジニア:筆者註)とかの協力もあって、特に“Two Faced In My Soul”は録音し直してよかったなって思う。もう前のギターソロと全然違うフレーズなんですよ。明け方眠い中で偶然閃いたフレーズとかも入っているんで。それだけ、長い時間かけてジックリ出来たから良かったですよ。今となってはいろいろと反省すべき点はいっぱい出て来ましたが、自信を持って出せるものにはなったと思うんですよ。